うそ

　殺意じゃありません。嫌いです。

一番誰が嫌いかって、地獄の入り口で聞かれたらなんて答えよう。やっぱりあいつかな。あいつだと思う。今目の前にいる、仲良しこよしのあなたの名前を告げるのだ。嘘をついて閻魔様に舌切られるのは嫌だし、嘘はいけない、正直であれ。

とか考えながら歩いていくあいつの後ろから転べ転べって祈りながら目を閉じたら自分がつまずいた。きまずい、恥ずかしい、時に限って周りが心配とかしてくれるから、私は誰も嫌いな人はいません、人が好きでたまらないよっていう人間を装う。

その瞬間心から思うのは心が見えない世界でよかったということで、エスパーの居ない世界に感謝。エスパーがいないかどうかは、分からないんだけど。