選挙の思い出
選挙の日、午後になると家族みんなで出掛けた。通っていた小学校まで5分の道のりをゆっくりと歩く。なぜかいつも晴れていて日差しが気持ちいい。
いつも通っている道。いつもの校舎。でも、一緒に居るのが友だちではなく父と母と姉で、職員室は暗くて先生が一人も居ない。花壇の花たちの間にはゆるやかな空気が流れて、青空はいつにも増してぐっとのびやかだ。学校の中にはやらなきゃいけないことが今日はひとつもない。
同じものを見ているのにあまりにも違う事を感じているからその違いが余計に際っていたのかもしれない。その時に家族と何を話したのかとか、投票が終わった後に何をしたとかそんなことはひとつも覚えていないのに、青空を背景にした家族の後ろ姿とほかほか暖かく幸せな空気を今でも覚えている。
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