夏休み



 博物館へ行った。青とみどりの下を通って。
 目的は展示ではなく展示室の脇にある小さな喫茶スペース。お茶を飲むためのお出かけ。
 博物館は古い本のにおいがして、いつか居たことのある学校の小さな教室を思い出した。エアコンが付いていないのか店内は生温かかったけれど、床から天井まである大きな窓から木漏れ日がさして、目から涼しさを感じる。しばらく座っていると外でかいた汗が引いていった。
 窓が大きいけれどその周りを木が囲んでいるから暗さと明るさがちょうどいい配分。木に集まった鳥たちは上がったり下がったりついばんだり、静かな時間を飽きさせない。店主はにこにこと静かに笑いながらおいしいコーヒーを淹れてくれた。

 おばあちゃん家のある町は、何もない人も少ない田舎だけれど、幸せな場所がちゃんとある町だった。
 私たちが『おばあちゃん家』と言うと、『俺が建てた家なのに!』と言って怒る、我が道をゆく祖父も元気そうで、一安心なお盆。

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