ヤギとシクラメン



あなたには足があっていいわね

シクラメンが言いました

その足でどこへでも歩いて行ける

私はこの土からずっと動くことができないわ

いいわね、いいわね


ヤギは言います

ぼくも首輪をあの杭に繋がれてここを離れる事はできない

だから君と一緒さ

ずっとここに居るのさ

ぼくらは、ずっと一緒さ


いいえ、違うわ

私は土に根をはらなくては生きていけない

でもあなたは杭が抜ければどこへでも行ける

可能性があるという意味で、私とあなたは全然違うわ

シクラメンは怒ったようにそう言いました


例えあの杭が抜けたって

ぼくはここを離れたりしない

ぼくの心は君に繋がれているのに

怒ってそっぽを向いたシクラメンに

ヤギは心の中で、そっとそう言いました

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